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コラム

外壁の塗り替えに最も大切な下地調整とは?

下地調整とは?

塗り替えリフォームをお考えの方は工事金額や上塗りの機能性(断熱塗料や汚れにくい超低汚染性)などに目が行きがちではないですか?

実は・・・一番重要な工程は完了後、完全に隠れてしまう下地調整にあります。

大げさに言えばどんなに高い、良い塗料を上塗りに使用しても下地調整が確実にできていないと数年後に塗膜の剥離などを引き起こしてしまう恐れがあるということです。

実際に塗り替えリフォーム後のトラブル発生原因の80%は下地作り不足と言われています。

では何故、下地作り不足となるのでしょうか?

いくつか原因はありますが大きな要因として2つが挙げられます・・・

手抜き工事

下地調整は上塗り塗料を塗装すると隠れてしまうので、薄く塗ったり、希釈(水やシンナーなどで塗料の粘度を調整すること)を規定量以上に多めに入れて薄めたりすることで工事金額を浮かそうとする行為は手抜きと言わざるを得ません。

こういった業者は上塗り塗料も同じような行為を行っている恐れがあります。塗料の耐久性も悪くなり、数年後にはチョーキング(白亜化現象)が発生したりします。

特に断熱塗料などの機能性塗料は塗膜の厚みが重要となってきます。塗回数を増やすことはありますが、減らすことは絶対にあってはなりません。

知識不足や経験不足

今一番多いのは知識不足の業者ではないでしょうか。

実際、住宅の塗装工事を請け負う業者は一般的な工事金額で考えると、建設業法では軽微な工事にあたり、特別な知識や経験、資格など特に必要ではありません。(500万円以上の工事を請け負うためには県知事の許可が必要となります)

逆に言えば明日から「塗装業者になろう」と思えばいつでもなれるというのが現状です。

現状の下地を確認し、適切な処理を行ったうえで素材にあった下地調整を行うということができていないことで完了後のトラブルの原因となっていると考えられます。

また、最近は様々なコーティングが施工されている外壁なども使用されており、特殊な下地処理が必要な場合があります。

こういった知識不足や慣れによる不良施工は後を絶たないといわれており、実際にリフォーム紛争処理支援センター等に寄せられる相談件数で最も多いのが、外壁や屋根の塗装工事となっております。

「せっかく高いお金を出して塗り替えしたのにもったいなかった」とならないためにもこのコラムが皆さんのお役立ちができれば思います。

塗り替えリフォームで大切な下地調整の流れ

ではどういった下地調整を行えばいいのか!

弊社の下地調整施工手順を用いてご説明します。

概ねこういった流れとなります。
※実際にはそれぞれの建物に応じた必要な処理が増えたりすることがありますし、逆に良好な下地状態であれば下塗りの回数は1回でも問題なく施工できます。(見積もり段階での調査がいかに重要かということでもあります)

②~⑤までが下地調整にあたるということになります。

弊社では高圧洗浄より先にシーリングの打ち替えやクラックの補修、欠損部の補修などを行っております。

何故かと申しますと、雨漏りの恐れがあるためです。

もちろん、シーリングが割れている。クラックが入っている。からといってすぐに雨漏りに直結することにはありません。

ですが、シーリングの割れやクラックが起きてから長期間放置した状態であれば、防水の肝になる部分が劣化している恐れもあります。

そういった箇所に通常、自然現象の雨天ではあり得ない圧力で汚れを落としていく高圧洗浄を行ったらどうなるでしょうか?

想像したら恐ろしいですよね。

そういったことを防ぐ意味でも何より最初に下地処理を行っております。

その中でも重要なのがクラックの処理とシーリングの打ち替えです。

①クラックの処理とシーリングの処理

まず、クラックですがおおよそ2種類に分けられます。

ヘアークラック

外壁に入っている微細なひび割れで主に表層部の塗膜が劣化すると発生します。ヘアークラックは一般的に下地調整においてクラックに追従する下塗り材を用いて処理を行ってまいります。

ちなみにその時使用する材料は一般的な微弾性サーフェーサーではなくエポキシ結合微弾性サーフェーサーという密着性と防水性が高い下塗り材をおすすめします。

また、塗膜表面の微細なクラックではなく、もう少し大きいひび割れであり、構造クラックとはいえないまでのクラックには浸透弾性固着処理のバリュー工法にて処理します。

◯構造クラック

外壁に入っている0.3mm以上の大きなひび割れで、構造物によって処理方法は異なりますが、一般的にグラインダーでVカットを行い、クラック幅を広げていきます。その後、ブリードが発生しないノンブリードタイプのシーリング材にて補修し、必要に応じてモルタル処理、肌合わせという工程を行います。

こういった工程を行わず、簡単にシーリングやパテを埋めたりするだけの処理ではほぼ必ずと言っていいほど1、2年でクラックが再発生します。

※詳しくはコラム「クラックの処理方法について」をお読みください。
また、シーリングについても「シーリング工事とは」をお読みください。

②高圧洗浄

下地処理をすべて終えてから高圧洗浄へと入ります。

ちなみにシーリング施工後は季節にもよりますが、1~2日程度乾燥させてから高圧洗浄となります。

屋根・外壁どちらも共通ですが、高圧洗浄機という加圧された高圧水をノズルから噴射させ衝撃を利用してチョーキングや汚れ、苔などを落としていきます。

ちなみに騒音などでご近所さんにご迷惑が掛かる恐れもありますので静音型の高圧洗浄機で作業するのをおすすめします。よくネット通販などでみられる洗浄機はおすすめできません。(圧力が全く違います)

塗装面に付着したチョーキングや汚れ、苔などを落としてきれいにしていく作業ですが、手元で圧力を調整しながら網戸や窓ガラスなどもいっしょに洗っていきます。(網戸などは洗う機会がないですのでかなりきれいになります)順番としては上から下へ。

通常、屋根から初めて外壁や破風、雨樋、付帯部と洗浄していきます。

作業に要する時間は数量などにもよりますが、通常半日から1日程度です。

外壁の高圧洗浄動画

 

屋根の高圧洗浄動画

 

洗浄後、最低でも24時間は塗装をしません。弊社ではよくこの1日を利用して塗装する際に汚れてはいけないサッシなどの養生作業を行います。

ようやく下地調整へと入っていきます。

③下地調整

弊社では下地調整は劣化状況によっては2層仕様(2回塗り)を推奨しております。(外壁の劣化進行度によって下塗り回数を変えております)

白亜化診断にて劣化進行度が1~3の場合は下塗り1回、劣化進行度が4~5の場合は下塗り2回以上と判断しております。

(以下文章では劣化が進行した外壁を想定して下地調整の施工方法を説明します)
※機能性塗料の中には専用の下地調整材があり、中には1種類しか推奨されていないものもあります。そういった場合は、同じ下地調整材を2回塗りしております。

吸い込み等があれば部分的に下地だけでも3回4回塗りになるということです。

2層塗りを行う理由は3つ挙げられます。

① 既存の外壁と上塗り塗料を密着させる役割

② 仕上がりのムラをなくすための吸い込み止めの役割

③ 防水性を兼ね備えた強靭な下地作りのための役割

この3つを下塗り1回塗りで補うことは、これまでたくさんの現場を施工した結果、弊社では無理だと判断しております。

では、なぜ無理だと判断したのでしょうか?

下塗り材は大きく分けて2つの種類に分かれます。

・シーラー

下地と塗料を密着させるための接着剤のような機能を果たし、浸透していくタイプのため、吸い込み止めとしての役割も果たす。(①、②をクリア)

・微弾性サーフェーサー

下地と塗料を密着させるための接着剤のような機能を果たし、吸い込み止めの役割も果たす。厚みも出るので、ヘアークラックなどの細かいヒビを埋めることができる(①、②、③をクリア)

「えっ」微弾性サーフェーサーで3つともクリアしているのではないか。と思われた方も多いのではないでしょうか。

ここに弊社が考える下地の落とし穴とこだわりが隠れております。

皆さん、外壁の塗り替えを行う時はどういった状態のときでしょうか?

「手に白い粉状のものがついた」、「そろそろ塗り替え時かな」と思われたからだと思います。

そういった状態のときは「劣化している」という前提で塗り替え工程を考えなければなりません。

実際、劣化した外壁をマイクロスコープで見てみると小さなひび割れが無数にあります。

こういった下地に一番適しているのは、やはり浸透性のシーラーだと考えます。

既存の外壁にしっかり染み込んでいき、密着力を高める効果としては抜群です。

ですが、防水性を兼ね備えた強靭な下地という観点では塗膜の厚みや機能という部分が足りません。

そういった部分を補うのが微弾性サーフェーサーです。

微弾性サーフェーサー
通常のタイプと
エポキシ結合を用いたものとおおよそ2種類あります。

通常タイプに比べエポキシ結合の方が密着性や防水性に富んでおります。
材料価格は約3倍近くしますが、大切な外壁の下地調整として弊社ではエポキシ結合の微弾性サーフェーサー以外は使用しておりません。

お客様へ提案後、相見積もりの業者さんから「過剰な性能ですよ」・「そこまでしなくても大丈夫です」と言われたと相談されることもありますが、弊社ではほとんどの塗料メーカーさんにお話をし、ほぼすべての方に「コスト面(価格)が折り合えば2層塗りすることが良い。」という回答をいただいております。

表にするとこういった感じになります。
※弊社のこれまでの経験から導き出したものです

浸透性シーラー 一般的な
微弾性サーフェーサー
エポキシ結合
微弾性サーフェーサー
密着性 A C B
吸い込み止め A B B
仕上がり性 B A A
防水性 C A
塗膜の厚み A A
結合力 C C A

A=非常に良好  B=良好  C=普通

弊社では下地に必要な要素に以上の項目を挙げております。

すべてAになるような下地調整だと完璧に近いと思いませんか?

ですから弊社では下地を2層にして下地調整を行っております。

下塗りの1層目は浸透性のシーラーを使用します。

浸透性シーラー塗装動画

気温に応じてしっかりと塗装間隔をとって下地調整2層目としてエポキシ結合微弾性サーフェーサーを塗装します。

 

エポキシ結合微弾性サーフェーサー塗装動画

これで下地調整が完了となります。

ここまでやるか!と言われてしまうかもしれませんが、下地調整は塗り替えリフォームにおいて最も重要な工程です。

この下地があるからこそ、上塗りの機能や耐久性が発揮されていくことになります。

弊社の場合を用いて書いておりますので、主観も混ざっておりますが、外壁を塗り替える際に参考になれば幸いです。

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