コラム
自社施工のメリット、デメリットについて
2021年09月29日(水)
「その塗り替え工事は自社施工ですか?」
弊社ではチラシやホームページで自社施工を推奨するような話をしております。
では、本当に自社施工が良いのかどうか?
弊社のこれまでの経験に基づき、自社施工のメリット、デメリットを記載させていただきます。(※あくまで、弊社の考え方という観点で見ていただけたら幸いです)
まずもって塗り替え工事にはどういった工事が入ってくるかと申しますと、一般的に、仮設足場工事、防水工事、塗装工事の3つの業種から成り立っております。
実際の工事を時系列で記載すると
① 仮設足場組立
↓
② シーリング工事
↓
③ 塗装工事
↓
④ 仮設足場解体といった流れではないでしょうか(表にまとめるとこんな感じです)
工事内容 | 工事の業種 |
足場の設置 | 足場工事 |
シーリングの打ち替えやベランダ防水 | 防水工事 |
外壁や屋根、付帯部の塗り替え | 塗装工事 |
足場の解体 | 足場工事 |
※塗装内容によってはシーリング工事と塗装工事が逆になる場合もございます。
弊社でも仮設足場工事については専門の業者さんへお願いしておりますが、その他の防水工事、塗装工事については弊社の自社職人のみで施工しております。
要するに足場が設置された後から足場解体までは弊社の職人以外は誰も現場に入らないということになります。
ここで、一つ目のメリットが発生します。
自社施工のメリット
メリット1
それは何かというと・・・
工事中、留守にされていても誰が工事を行っているかわかるということです。
弊社ショールームに来ていただいた方はお分かりとは思いますが、ショールーム内には現場を担当する職長さんの顔写真と資格を記載した展示物を掲示しておりますので
「もし、工事を請け負わせていただく場合は彼らのいずれかが担当となり、最後まで職長として伺うようなシステムです」とお伝えしております。
もし、皆様が塗り替え工事を業者へお願いする時に担当する職人さんの顔を知っているのと知っていないのではどちらに頼みたいと思われますか?(自社の職人さんが施工するのと下請け業者が施工するのではどちらに頼みたいですか?)
個人的な見解にはなりますが、私だったら、やはり顔を知っている職人さんへ頼んだ方が安心します。
そういった安心感も自社施工のメリットだと思っております。
メリット2
続いて2つめのメリットとして工事品質の確保ということが挙げられます。
弊社が住宅塗装専門店として一番にこだわっている部分でもございます。
では、工事品質が良い塗り替え工事とは?と聞かれたときにお答えをする内容とはどんなものでしょうか?
「1級塗装技能士が施工します」・「経験豊富な職人が施工します」などの言葉が思い浮かぶのではないでしょうか?
確かに資格を持った方や経験豊富な職人が施工するのであれば問題ないように思えますし、間違いとういうつもりもございません。
ただ、弊社としては、塗装工事は建物を守るという観点で施工を行わなければならないと考えています。
そこには、ただきれいに塗るということだけでなく、雨漏りしやすい箇所を事前調査の段階で把握し、どのような処理を行った方が良いか。また、今後の事を考えると施工しておいたほうが良い箇所にどのような施工方法を行っていくのかということが重要です。
弊社では雨漏り専門店という側面を持っており、これまで数々の「どこから漏れているのかがわからない」という雨漏りの原因特定を行ってきており、その原因は多岐にわたりますが、実際の調査で培われた雨漏りのメカニズムは弊社の中へ蓄積されております。
その蓄積した知識を共有できるのも強みの一つであると考えております。
また、塗装自体においては、良い塗料と良い施工方法によって塗装工事は完結します。
塗料の良し悪しに関しては外壁や屋根の素材によって向き不向きや相性があったりしますので、ここでは割愛させていただきますが、施工という観点からお話すると、弊社では外壁や屋根の素材、劣化の進行状況によって1件、1件それぞれに適した施工方法にて工事を行っております。
その中身について担当する職長だけでなく、職人さん全員と施工前から情報を共有しております。
また、施工においても、どういった対策を実際に行ったのかも全員で共有し、話し合いを持つようにしております。
そういった自社だからできる情報共有や問題点の解決法などによって工事品質の確保へと繋げております。
メリット3
3つ目のメリットとしては工事金額が適正価格だということです。
この項目に関しては見られる方によって賛否両論あるかとは思いますが、弊社の観点からお話させていただきます。
塗装工事の価格は材料費、人件費、会社利益の3つから構成されております。
(会社利益の中から固定費の支払いを行います)
ここで重要なのが、利益を確保しなければならない会社がいくつあるかによって工事価格も変わってくるということです。
弊社では基本的に足場工事以外は自社職人によって施工しているので、中間マージンは発生しない仕組みとなっております。
一般的に塗装工事はお客様と契約を締結する営業会社から実際に施工を行う塗装業者へと発注する下請け構造が常態化されております。
また、塗装専門店を謳ってはいるが実際は他社へ工事を発注し、中間マージンが発生する営業会社とスタイルは全く変わらない業者が多々あるということも多く聞かれます。
また、会社である以上、一定の利益確保は必要なのですが、こちらでもあくまで弊社にとって必要な利益のみ頂戴することになりますので、自ずと工事価格も抑えられる傾向があると思います。(ありがたくも1年間常に工事の受注ができており、施工に関しても隙間なく埋めていけるので、コストを抑えることに成功できていると思っております)
自社施工のデメリット
ここからは自社施工のデメリットを記載していきます。
デメリット1
まず、弊社で一番感じていることは
ご契約を結んでいただいてもすぐに施工できない。ということが挙げられます。
弊社ではありがたいことに多くのお客様から塗装工事のご契約をいただいております。
実際に平均で3カ月~半年の施工待ちが通常になってしまっております。
私共としても、弊社を信用し、ご契約を頂戴したのにも関わらず、「施工まで〇カ月お待ちしていただいてよろしいでしょうか」と言わざるを得ないのは心苦しくもあります。
ですが、高額であり、大切な住まいを守る塗装工事において、最も重要なのは工事品質に尽きると考えておりますので、どうしてもご契約をいただいた順番に施工していくという形になってしまっております。
ここに関しては職人の育成を通じて改善をしていく様に進めてはおりますが、いかんせん職人の技術は一朝一夕で培われるものではありませんので、一歩一歩進めさせていただいております。
デメリット2
またもう一つデメリットを挙げるとすれば、合理化に限界があるということだと思います。
昨今、デジタル革新などによって合理化が加速度的に進んでおります。
弊社でも、個人情報の管理や事務的な機能に関しては様々なシステムを通じて合理化を進めておりますが、実際の現地調査や施工に関しては合理化を進めていくのは限界があると考えております。
例えば調査においてはドローンや赤外線カメラなど様々なツールを駆使して詳しく調査ができるようにはなりましたが、調査品質の向上はできても効率がよくなることは無いと思います。
実際に弊社では調査には1時間~2時間程度掛かることが多く、これは10年ほど前から一切変わっておりません。
また、施工においても機械などの導入によって作業性は上がりましたが、今以上に効率よく作業することはできないとも考えております。
昨今塗装工事においてマニュアルを作成し、そのマニュアルに基づいて施工すれば問題なく塗装工事が完了するといったことが広がり始めており、ワンウィーク塗り替え工事(1週間で工事が終わる)なども出始めているのですが、弊社が考える塗装工事とは1件1件それぞれ症状が異なる大切な住まいにそれぞれに応じた対処方法を導き出していくというものなので、どうしてもマニュアルだけでは対応できません。
また、塗装工事というものは下地処理や調整、上塗りの回数など、それぞれの工程が終わるごとに乾燥時間を設けなければなりません。
その乾燥時間を怠ってしまうと塗装工事の品質そのものが損なわれてしまうので、施工期間の短縮化にも限界があります。そういった要素を鑑みると、今以上の効率化は難しい現状があります。
何をおいても温故知新ではありませんが、良いものは良いもので残していき、より良いと思われたもののみ効果的に導入していくことが大事だと考えております。
自社施工のメリット | 自社施工のデメリット |
自社職人のみの安心感 | すぐに工事ができない |
工事品質の安定化 | 合理化に限界がある |
適正価格 |
いかがでしたでしょうか?
あくまで弊社の考え方に基づくお話にはなりましたが、自社施工にもメリットがあればデメリットもあるということです。
大切な住まいを守っていくために行う塗装工事であり、高額な工事です。
塗装工事を検討されている方にとって良い情報となれば幸いです。
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